ロックンロール依存症

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king gnuが好きな人もそうでない人もmillenium paradeを聴くべき3つの理由

みなさん、おうち時間いかがお過ごしでしょうか?そもそも田舎の人はおうちですごすより農作業や林業に携わっている人も多いでしょう。本当に日本を支える為に汗を流してくれてありがとうございます。

おうちで時間を過ごしているみなさん、Netflixは見ていますか?僕はまだ契約できていません。

遂にNetflix攻殻機動隊が配信スタートしましたね。主人公の女の子が個人的に凄くタイプです。

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主題歌はking gnuの常田大希氏のプロジェクトmillenium parade(ミレニアムパレード)のfly with me

https://m.youtube.com/watch?v=fuXZMQAD9vU

最初聴いてみた時は誰が歌っているのか分からないのでミステリアスな曲だなーって思ってましたが、何回も聴いているうちにking gnu飛行艇にも似た高揚感が僕を急襲しました。

歌詞も暗喩的ですが超ポジティブ、気分がブチ上がります。

巷ではking gnuはかなりの話題になっていますが、millenium paradeが話題になっている事は案外少ないように感じます。そこで今回はking gnuが好きな人、好きでない興味がないって人にもmillenium paradeを視聴して欲しいのでmillenium paradeを視聴すべき三つの理由を記事にしようと思います。


millenium paradeを視聴すべき一つ目の理由

常田大希氏の二つ目の人格を覗ける。

元々常田大希氏はking gnuを結成する前に音楽大学でチェロを専攻しており、大学を中退してからsrv vinciというバンドでアバンギャルドな音楽を表現していました。

https://m.youtube.com/watch?v=6QQoZW0SOnI

king gnuとしてもカバーされたabukuという曲です。

洋楽を幼少期から聴き、radioheadgorillazといったロックやポップスの型にはまらないグループから影響を受けたと公言していた常田氏、

「サビなんてダセえ」これは昔の常田氏本人の発言でした。それは全て洋楽からの影響であり、上の動画の曲もkid a期のradioheadの様に単調なエレクトロニカ風のリズムに常田大希氏の気怠いボーカルがひらひらと舞い降りた羽毛のように乗っかる。

(そうサビなんて全然無いのです。)

しかしなんとしても自身のバンドをBIGにしたかった常田氏は2010年台後半、飛ぶ鳥を落とす勢いだった天才ボカロシンガー米津玄師氏に相談を持ちかけます。

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「サビが無きゃ日本じゃ売れないよ」

カリスマ米津氏、ハッキリこう言い放ってしまったのです。衝撃を受けてしまったであろう常田氏、新たに立ち上げたking gnuというバンドをJ-POPをやる為のバンドにしようと意気込みます。しかしただのJ-POPでは無くミクスチャーロックの要素も交え、なんとサビを二つも一つの楽曲に入れてしまいました。

そして大ヒットしたアルバムceremonyとド級の名曲、白日が産まれました。

https://m.youtube.com/watch?v=ony539T074w


しかし常田大希氏の尊敬するradioheadのトムヨークもそうであった様に成功には常に重圧が伴います。名盤と言われているceremonyの製作中、多忙を極めていたking gnuと常田氏は本来ならOKを出さないような作品を出し、半ば鬱状態に陥っており、紅白は解散するつもりで出ていたんだとか。

そんな状況下J-POPとしてのバンドのking gnuアバンギャルドな自分との間に折り合いをつけようと常田氏は考えていました。

バンドではできない事をやりたい。その思いがmillenium parade結成のきっかけでした。

バンドでは出来ない事をやるという名の通り固定のメンバーはおらず、様々なクリエイターやアーティストを巻き込んだ一大プロジェクトになります。しかも音楽以外の面での力の入れ具合がハンパじゃありません。

https://m.youtube.com/watch?v=TSrXH_WMDUY

こちらの映像を見てもらうとわかると思いますが、音楽が無くても映像作品として成り立つ様なアニメーションと映像のクオリティがあり、もはや音楽というより総合芸術といえる作品だと思います。

このようにmillenium paradeというグループにはバンドマンとしての常田大希ではなく映像作家の常田氏という芸術家としての一面を覗かせるグループという魅力があります。


millenium paradeを視聴すべき二つ目の理由

歴史から学んでいる非常に聡明なグループであるという事実

先程常田氏が影響を受けたグループにgorillazというグループの名を挙げましたが実はこのグループのフロントマンの正体は90年代にヒットを飛ばしたバンド、blurのVo.デーモンアルバーン氏と同一人物なのです。そもそもblurというバンドはイギリス国内のポップバンドという立ち位置でしたが、紆余曲折あり2003年に解散してしまいます。デーモン氏は2001年に立ち上げたソロプロジェクトgorillazを本格始動させます。そのプロジェクトはblurの時代には得られなかったアメリカでの人気を獲得する事になりますが、何より革新的だったのがグループのメンバーを架空のアニメキャラクターのバンドにした事です。

下はgorillazの19-2000という曲

https://m.youtube.com/watch?v=WXR-bCF5dbM

単調なリズムでサビもどこなのか分からないですが、初めて見た人はキャラクターに目が行くのでどんなに単調なリズムと曲調だったとしても一つの作品として成立してしまう。

millenium paradeの曲も単調な曲に気怠いボーカルの物も多いですが、映像という表現の一部なので気にならず世界観に入り込めるという魅力を持っています。

そうmillenium paradeもgorillazもミュージシャンでは無いのです。彼らの作る楽曲は一つの作品の中の一部に過ぎません。millenium paradeは一つの映像作品、gorillazはアニメーション作品でありもはやバンドという枠組みどころかミュージシャンとしての枠組みも超えたグループと言えます。

常田氏はJ-POPバンドとしての自分と表現者としての自分を両立させる為に徹底的に歴史から学んだのです。

「愚者は経験から学ぶ、賢者は歴史から学ぶ」の言葉通り常田氏とmillenium paradeは聖人賢者と言えるグループで間違い無いと考えて良いでしょう。

彼らは間違いなくブレイクが出来る素質があり、そして柔軟さもあるグループです。


millenium paradeを視聴すべき三つ目の理由

徹底されたファンタジーの世界観が美しい

最初にmillenium paradeを聴く人は全編が英語の歌詞の為、とっつきにくいような印象を抱く事が多いかもしれません。私も最初はそうでした。しかししっかりと日本語の字幕も付いているので映画のような感覚で楽しめます。

英語の歌詞である事にも理由があります。先程書いたように映像作品としてmillenium paradeの作品は成り立っているのですが、その一つの映像作品として非現実感を演出する為に全編英語の歌詞となっています。millenium paradeで取り扱う映像作品は非現実的かつシュールでファンタジックな物が多いです。

もしシンデレラが現実に現れて普通に日本語を喋っていたらどうでしょう?一気にその女性がシンデレラであるという説得力が無くなってしまいます。

このようにmillenium paradeはファンタジーの世界を守る為に全編英語歌詞にしていると見て間違いないと思います。こうして見るとking gnuとは正反対の性質を持ったグループと言えるでしょう。king gnuは井口理という等身大の男が実社会の苦しみやジレンマを歌いあげる非常にリアルな世界観であるのに対しmillenium paradeはいったいどんな顔の人間が歌っているのかも想像がつかず、歌詞も暗喩的で難解です。正にファンタジー作品としての世界観を確立しています。


という感じでいかがでしたか?

king gnuと正反対のグループではありますが、ちゃんとポップな常田節が聴ける曲もあり、なかなか面白いです。


まだ5曲しか曲を出していないのでking gnuを全て聴くよりも追いやすいと思うので是非みなさんにも聴いて欲しいです。


それでは







Netflixにかいいんとーろっく♪