ロックンロール依存症

ロックや音楽カルチャーやお菓子について書きます

アルバムランキングでサージェントペパーズの順位が下がった理由を考えてみた

今更ですが去年のローリングストーンの最も偉大なアルバムランキングはご覧になられましたか?

https://rollingstonejapan.com/articles/detail/34654/1/1/1

見ていない方はこちらからご覧になって下さい

さて本題に移りましょう 前回の同ランキングで一位だったサージェントペパーズロンリーハーツクラブバンド(以下サージェント)が順位を24個落として24位となったわけですが この件に関してはネット上でも賛否両論、議論百出の極みとなりました

この件に関してビートルマニア歴=年齢の僕の意見を述べようと思います 結論から言いますと









理由はすごい分かる


はいこのランキングにおけるサージェントの順位は大のビートルズファンの僕でも少し納得してしまったのです

その理由をいくつかにまとめて書いてみたのでゆっくり読み飛ばすような感覚でご覧ください


1.前作のリボルバーが革新的過ぎた

サージェントは90年代中頃くらいまでは直接影響を受けたと思われたバンドもいましたが(Kula shakerなど)ポストサンプリングの世代になってくると前作のRevolverの方が直接的な影響元として語られやすいという点があります テープループや逆再生を多用してなおかつ聴きやすいのでそちらに流れていくのは当然っちゃ当然かもしれません 要するに前作でやり切ってしまった感が強いのです


2.ビートルズにしては古臭い

前作のリボルバーが60年代のサウンドとは思えないサウンドであったのに対してサージェントはジャケットからして古めかしくサウンドも意図的にレトロ趣味に寄せられています (アルバム収録曲7曲目のBeing for the benefit of mr.kite(以下Mr.kite)は骨董品屋の古ポスターからインスピレーションを得ている) この古めかしさが最大の魅力とも言えますが、この事が革新性を売りにした前作より見劣りしてしまう原因でもあるのかなと思います


3.楽曲に爽快感が無い

前半四曲は比較的爽快なロックナンバーなのですが、Fixing a holeからLovely ritaまでスローな曲が続きます この間ナント6曲です この6曲はレコードで聴く事で雰囲気が出る曲なのですがデジタルで聴くとなると正直退屈な印象を抱いてしまう楽曲です

ビートルズに期待していた爽快感のある曲が少ないために後追い世代のリスナーがガッカリしてしまったのではないしょうか?(それでもレコードで聴けば味が出る燻銀な曲なんですけどね)


4.聴いててストレスがかかる

絢爛なジャケットから想像できるようにとても煌びやかな音像をしているサージェント ですがこの音像こそがリスナーに聞き疲れを起こさせてしまう理由であり、何度も聴く気にならなくなる理由の一つにもなっている気がします おまけにアルバムの最後にはオーケストラのノイズと不気味な逆再生の音声まで入っています 昨今のイージーリスニング的な風潮で育ったリスナーからしてみればこれはストレスになってしまいます


5.単純に時代に合わない

毎日どんどんと新しい楽曲が出て消費されていくサブスク社会 そんな時代の中でアルバムというものの存在意義が薄れているとエアロスミスのジョーイ・クレーマーも発言しています SNSでは良くも悪くも一曲としてのインパクトの強さが重要になるのでアルバムとしての繋がりが前提条件にあるサージェントが苦戦を強いられるのも無理はありません 寧ろサブスク、SNSの時代に24位は相当頑張ったとも捉えられる順位です 悲しい事にサージェントは名盤ではありますが、時代の移り変わりには対応出来なかったアルバムだったのです


ここまでは悪い面ばかり書いてきましたが良い面も書いてみます 


1.音像がクリア

当時の録音にしては信じられないほど音像がクッキリしています この事が聞き応えに繋がっています


2.メンバーの衣装とかルックスがカッコいい

この頃のメンバーの衣装や見た目はその後のビートルズのアイコンになるほど印象的 やはりルックスと音楽の関係は切っても切り離せないでしょう


3.遊び心

先程否定的に書いた逆再生の音声というのは実はサージェントペパーズインナーグルーヴといってLPが再生終了した後に針が最後の溝の部分に当たって雑音を出し続けるというデメリットを逆手に取った物 まさに発明家とも呼べるほどの革新的な事をジョン・レノンはこの時代にしていたというわけです ビートルズ恐るべし


4.圧倒的な聞き応え

先程聴いていてストレスがかかると書きましたが、それはアルバムがコンセプトに沿ってアレンジを施しているからであって それを乗り越えれば圧倒的な聞きごたえとカタルシスがあなたを待ち受けています


5.今には無いタイプの音楽

A day in the lifeの大胆なオーケストラノイズの導入Mr.kiteで突然流れてくる音の洪水のようなサンプリング音声

現代の感覚に慣れてると結構大胆な構成でクセがあって聴きづらいんですけどそれが今には無い感じで逆に新鮮なんですよね 古めかしさを感じるサウンドも歴史的な重みを感じられるいいアクセントです


とここまで色々書いてきましたがやっぱり誰がなんと言おうと名盤ですよ このアルバムは 他人の意見や風潮に惑わされずあなたの耳で何回も聞いていくうちに味が出てくるアルバムだと思います

やはり全ての人が聴くべきアルバムである事は僕の中で揺るぎないです

次回はホワイトアルバムについてでも書こうと思います それではまた