ロックンロール依存症

ロックや音楽カルチャーやお菓子について書きます

人の自殺を責めるな

5月も終わりに差しかかってる中、いたましい事件がテレビ番組を発端にして起こってしまった。

リアリティ番組テラスハウスに出演していたプロレスラーの木村花さんがSNSの誹謗中傷に耐えかね、自ら命を断ってしまいました。

まず初めに木村花さんとそのご家族の皆さんには哀悼の意を捧げます。

この事件をきっかけに政府がネット上の誹謗中傷を規制する動きがあるなど、大きな社会的反響が起きています。

そんな中、誹謗中傷をした人をまた中傷する憎悪のループや死して尚、木村花さんを中傷するコメントなどもあり、なんとも嫌な気分にさせられるニュースです。

芸能人もこの件について言及しており、プロレス好きのケンドーコバヤシさんは将来有望だった才能の損失を嘆く発言をしています。

そんな中ダウンタウン松本人志さんが木村花さんの自殺を責めるような発言をし、賛否を呼んでいます。

内容はざっくり説明するとこう。

「みんないじめだなんやかんや言ってるけど、一番悪いのは自殺すること。なんでみんなかわいそうかわいそうばかり言って、自殺することが悪いことだと言わないんだ。」というもの。

賛同するコメントとしては

親から貰った命を大切にしないのはダメ

死ぬのを正当化したらダメ

自殺が美学となってしまうのが怖い

否定的なコメントは

自殺をしなければメディアが取り上げてくれないという社会的背景がある

なぜ死にたい時に死ねないのか

松本さんは精神的に追い詰められてないからそんな事が言える

などです。

まず前提として自殺や死は絶対に正当化してはならないものですし、それが美学となってしまうのは言語道断。社会全体で食い止めなければなりません。

その上で自論を述べさせてもらいます。まず人の自殺を責めないで欲しいと言いたいです。

なぜ自殺を責めたり否定してはいけないのか、まず自殺を責める人が存在していることは仕方がないことです。それは個人の思想の自由ですし問題はありません。

ただ、そういった考えの人が増えすぎると心が弱い人は社会に圧力を感じて生きづらくなってしまう恐れがあるという事。

二つ目は自殺をしなければならない理由があった社会的背景について考えなければならないという事。

順を追って説明しましょう。まずなぜ自殺を否定することが行きづらさに繋がるのか。それは死にたいという感情は理屈では説明できない問題が絡んでいる点です。

自殺志願者というのは常に心に重い重しがかかっているような状態で、どんなにポジティブな言葉をかけてもそれはただの重圧になってしまいます。その例として心が弱ってる状態で自己啓発書を読むとうつ病になりやすいというものがあります。

うつ病にかかっている人にとって否定するというのはいわば劇薬を飲ませるようなものであり、否定するよりもその人をある程度受け入れてあげるのが大切です。(自分自身うつ病にかかった時に同じ症状であり、これまで出会ったうつ病経験者にも同じ傾向が見られた)

極端な例かもしれませんが、20年以上前に完全自殺マニュアルという本が流行りました。この本の本質は自殺を推奨するものではなく、いざとなったら自殺しまってもいいと思えば、苦しい日常も生きていけるというもの。「強く生きろ」という日本社会の風潮に異議を唱えたもので、実際この本によって生きようと思い直した人も多かった。事実ブームとなった年とその翌年の2年間において自殺者は減少しているというデータもあります。

なので自殺は悪いことだと頭ごなしに否定する事は心の弱っている人には多くの場合逆効果である事が多いです。

ならばどうしたらいいか?まず「死んだらダメ」の類いの言葉は絶対にかけない事を心がけて下さい。

その上で一度自殺という話から離れて、その人の考えに共感してあげましょう。人間は話をしているだけで気が紛れるものです。逆に肯定されて嫌な人間なんていません(僕の知る限りでは)。

休日は一緒にドライブや症状が改善されてきたら得意な事や趣味を一緒に手伝うなど言葉以外のコミュニケーションも大事です。

まずは相手のことを考えて何よりもその人やその人の行動を否定するような言動をしないように心がける事が重要です。

二つ目の自殺をしなければならなかった社会背景について考慮しなければならない事については、まず今の日本社会は自己責任論が強くなかなか助けを求めても手を差し伸べられづらいという点があります。今回の件もリアリティ番組という仕事の枠組みの中で不利な仕事を与えられた。テレビ局という大きな会社が企画した事なので不満があっても声を上げづらく、何より嫌な役を演じさせられたので何をやっても信用されないという大きなハンディキャップがあるという点。木村花さんが自殺しか道がなかったとは言い切れませんが、こんな常軌を逸した状況下、正常な判断力を失ってしまう事は容易に考えられます。

そんな中でも花さんは何かを訴えたくて行動を起こしたはずです。上の意見でもあったように自殺でもしないとメディアは報道してくれない。そういった側面が確かにあります。民衆はネガティブなニュースが大好きです。インパクトのある事をしないと自分の意思が伝わらない。だから最後の力を振り絞り自ら命を断つ事で社会に問題提起をした。

だからこそ彼女の死を無駄にしてはいけません。事実、これからの糧として最大限に活かすべきではないでしょうか?そうでなければあまりに花さんが報われません。

「あなたの死は無駄ではなかった」と言ってあげるべきではないでしょうか?

僕はそう思います。そして何よりもこのブログを読んでる皆さんにもそう思って欲しい。無駄にしないで欲しい。そう願っています。

生きることは押し付ける事では無く、その人それぞれに意味があるはずです。

親より先に死ぬ事が罪という言葉は若くして死んでしまった人への一人の人間としての尊重が足りないように思います。

何よりも憎しみの連鎖や同じようなことが起こらないように一人一人が努力することが最も大切です。

一刻も早く悲しいニュースが減るように日々願っています。